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執筆者の写真藤原 嘉騎

フォトコンテストで入賞するコツ。 世界2位受賞者が語る4つのすべき事。

更新日:2020年10月12日


 

 これまでに世界規模のフォトコンテストで賞をいくつか受賞してきました。特に2018年10月から2019年10月の1年間は世界でも最も難しいと言われるコンテストを含め、3つも賞をいただくことができました。  そこで、自分がコンテスト応募にいたり行なっていることを紹介します。

その前にどんな賞を取ったのかというと ◉写真界のアカデミーショーと言われるInternational Photo Award (IPA 2018 Pro部門 Nature/seasons 2位)

◉ 写真界最高峰と言われた米国National Geographic が主催するNational Geographic Photo Contest

(2019 National Geographic Travel Photo Contest People 2位)


◉IPAの日本版国際フォトコンテスト Tokyo International Photo Award (TIFA 2019 Pro部門 People GOLD)


 上記3つが1年間で取ることができた賞になりますが、それ以外でも有名なところだと住友やPashadelic、東京カメラ部10選に選んでいただくなどしています。


◉世界規模コンテストに挑戦する理由  自分は主に海外コンテストに目を向けています。なぜ海外なのかというと世界で自分の写真がどのように評価されるのか知りたいからです。  少し昔話になりますが、自分は写真をする前はスノーボードで数社のスポンサーがついていてプロスノーボーダーとして活動していました。メーカーのカタログに自分の名前が記載されてはいましたが、ナショナルライダーではなくジャパンライダーとしてでした。自分の実力ではジャパンライダーになれただけでも十分ですが、それでも世界でトップレベルの人しかなれないナショナルライダーを目指すべく練習していましたが、事故によりスノーボードの道が閉ざされてしまいました。 こういう事情もあり、次に何かをする時は日本よりもレベルの高い海外で勝負できる実力になりたいと思っていて、今は写真で海外に挑戦しているところです。 今回、世界的に有名なコンテストで賞を取ることはできましたが、これで世界と勝負できるほどになったかといえば違うと思っています。もっともっと勉強しないといけないです。

(下記写真はスノーボーダーとして活動していた時の自分です。)

◉世界規模コンテストのメリット  世界規模のコンテストに挑戦することは自分自身の成長にとてもいいともいます。撮影技術や現像技術、機材なども日本より2~3年は進んでいるので自分の知識を上げるのに非常にいいです。 さらに、上記であげたような世界的にも難度の高いコンテストで入賞すると幾つかの国から雑誌のインタビュー依頼や(自分の場合はイギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、中国)、海外テレビで紹介されたりします。国内でもカメラメーカーのカタログ撮影依頼(海外ロケ)などがきて世界中に配られるカタログやYoutube上に自分の写真が出てくるようになります。 その他にも、テレビ番組や月刊誌で有名な米国のNational Geographic とフォトグラファー契約を結べたり、最近ではカリフォルニアに本社を置くThe Walt Disny Companyと契約することもできました。ミッキーと何度もメールのやり取りをするのは感動でした。



◉世界規模コンテストの敷居は高くない

 世界規模のコンテストは参加者が多いだけでなくレベルも高く、英語もわからず、そもそも敷居が高そう。と思っている人も多いと思います。 でも、そんな事はないです。英語のできない自分が気軽にエントリーできてます。1枚のエントリーごとに2,000円とか3,000円とかお金がかかりますので出しても1枚か2枚、その2枚の写真の題名とほんの1~2文の文章の英語を考えるだけです。無料翻訳サイトで訳してもらってコピー&ペーストでいけます。日本のコンテストはエントリー費無料がほとんどですが、募集要項に著作権の譲渡を記載しているのをよく見かけます。世界規模コンテストはエントリー費はかかりますが著作権は持っていかれませんし、何より自分のレベルを知ることができる勉強代と思えば非常に安いです。海外コンテストに挑戦するだけでレベルが上がった気もします。 ◉人物写真をコンテストに出す際の注意点

 自分は風景を主な被写体としていますが、風景に人物が映り込む写真での受賞も多くあります。人の顔がしっかりと写り込んでいる写真をコンテストに出す際は撮影時にしておかなければいけないことがあります。 それは『どこの誰か』『許可は取ってるか』ということです。 コンテストによっては、受賞連絡時に『どこの誰か』『許可は取ってるか』を聞いてきすので、いざという時の為に撮影時にはその方の名前と連絡先を聞いておくようにしましょう。


 

◉フォトコンテストで入賞するための4つのやるべき事(4つのコツ)


 ①応募するコンテストの過去の受賞者の作品をチェックする。

各コンテストにはそのコンテストの好みや傾向があります。アート系な雰囲気のもの、透明感のあるもの、コントラストが高く明瞭度のあるものなどさまざま。

コンテストのエディターや審査員の好みを見極めることが必要です。あまりにも作風が違うところには出さないようにしています。


 ②写真をコンテストのエディターや審査員の好みに寄せる。 寄せると言っても自分の作風を曲げてまで寄せなくていいです。まずは自分の好きなようにいつも通りの現像をし完成させます。そのあとのプラスαとして露出を変えたり、明瞭度を変えたり、コンテストの雰囲気に合わせて調整するだけでです。  これはIPA2018で賞を獲ったときの作品ですが、通常に現像したものにトーンカーブ で少し調整しただけです。右が通常現像で左が寄せたものです。うっすらと青白い幕が全体を覆った感じに調整しました。非常に分かりにくいですが、ほんの少しだけ IPA風なアートな雰囲気になった気がします。この作品がIPA 2018 Pro部門 Nature/seasons 2位を受賞しました。スマホだと違いがわかりづらいのでPCで見るのをお勧めします。(大阪で撮影)

③ディスプレイのキャリブレーションする。 自分はこれから説明する③と④が最も大切だと考えています。

 キャリブレーションなしでは正しい色は見ることはできません。モニターは使い続けていると経時変化していき、白色の色温度と明るさが少しずつ暖かみのある暖色系に変化していきます。変化してしまったディスプレイでRAW現像を行っても見る相手側にはその色では伝わっていません。正しい色、元の状態に戻すために定期的なキャリブレーションを行う必要があります。こうすることで常に安定した色を保ち、正確な色を相手側に伝えることができるようになります。 (自分は1ヶ月に1回ディスプレイのキャリブレーションをしています。)  キャリブレーションツールは高いものから安いものまでありますが、安いものでも2万近くし、キャリブレーションのことが気になりだした人でも購入するのはなかなか勇気がいる金額だと思います。ですが、せっかく良い構図で作品を作り出しても最も重要な色が相手に伝わらなければその写真の良さは半減してしまいます。大きなコンテストに挑戦される方はキャリブレーションツールの導入は必須だと自分は思っています。 ④RAW現像する部屋の環境光を整える。  最後にRAW現像する部屋の環境光になります。環境光(部屋の照明)は非常に大切で、光の色の種類や強さでディスプレイに表示される画像の色の見え方が変わってきます。青色の蛍光灯で見た時とオレンジ色の蛍光灯で見た時では色が違って見ます。 服屋さんに行った時に店の照明がオレンジ色すぎて本来の色がわからない。自宅に帰って見た時とお店で見た時とは色が違って見えたというような経験ないでしょうか?それと同じでRAW現像をおこなう部屋の照明もそれに適した明るさにしなければいけません。  では、RAW現像にあった環境光とは何か。それは印刷物を観察するための標準的な明るさになります。印刷物を見る時はこの明るさでみるのが良いですよという数値があり、その推奨されている数値はCIE 昼光 D50 を用い,平均 演色評価数Raが95以上、特殊演色評価数 Ri,i=9~15 がそれぞれ90以上、照度が2000 ± 500lxとなっていて、この観察環境は印刷物を厳密に評価するためには必要な条件と決められています。出版物を取り扱う所や大きなコンテストを行う所であればこの指標に基いてきちんと環境光を整えています。この相手側と同じ環境光を整えてRAW現像を行うことで初めて自分の拘って創り出した色を正確に伝えることができるようになります。

太陽の陽があたる屋外や外出先の店内でRAW現像を行っても光の色が違うので、きちんとした環境光を整えている場所でみると違う色で表現されてしまします。

 では、正確な色を表現できる環境光を手に入れるにはどうすればいいのかというと直管蛍光灯になるのですが、 色評価用蛍光灯:Ra(平均演色評価数)99、色温度5000K(昼白色)、演色AAA を購入すれば手に入れることができます。現像する部屋の照明が丸形蛍光灯の場合は、直管蛍光灯の照明スタンドを置けば大丈夫です。フォトグラファーや色を扱うイラストレーターの部屋などで直管蛍光灯のスタンドが置いてあるのはその為です。  自分はこの4つの事柄を行うことでこれまで多くの賞を頂けたのだと思っています。あと、お店に持っていきプリントをお願いしてみると違う色になってプリントされてきたという経験がある方も③④を行う事で解消されますのでそういった方もぜひやって見てください。


 

 

◉まとめ

 現像環境であるキャリブレーションや環境光は費用もかかりますし、効果の実感がなかなか得られないので軽視してしまいがちです。自分のディスプレイや照明を整えていても見る側がこの環境を持っていなければ正確な色で見ることはできません。SNSに投稿するとほとんどがこうなると思います。しかし、お互いがバラバラではさらに酷くなってしまいますのでせめて自分だけでも正確にしておいた方が良いのではないかと思っています。 それにこれをきちんとやれば世界中のこの道に精通したプロフェッショナル(写真家や美術商・審査員など)には正しい色で見てもらえ、自分の作り出した作品を本当の意味で正しく評価してもらえます。賞に入るのが1番良いですが、落ちたとしても正確な色を作り出して落ちたのであればそれは完全に自分の表現不足だっということなのでわかりやすいです。これまでにコンテストに出されていた方もほんの少しの色の見え方で賞を取れなかったのかもしれません。 自分はこれらのことを行うことで世界でも最も難しいと言われるコンテストで賞を取ることができました。費用がかかる部分もありますが、これらの事をすることでチャンスは必ず広がると思います。


 



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