top of page
執筆者の写真藤原 嘉騎

Nisi Natural Night Filter レビュー

更新日:2021年7月22日


 Nisi Filtersは素晴らしいフィルターを開発した。光害をカットするフィルター、Natural Night Filterである。光害は夜景写真家の間では共通の問題であり、天の川などの自然風景や都市での夜景撮影において問題となっている。しかし、Nisiのおかげで私たちはもうこの問題に悩まされる必要がないかもしれない。Natural Night Filterは水銀灯やナトリウム灯などのオレンジ色の光源、低演色性の光害をカットすることで光害によって隠れていた色を引き出し、より自然な色表現を可能にした。

フィルターは、さまざまなサイズが用意されており、角型フィルターならば180x180、150x150、100x100の3種類と、円形フィルターならば40.5mm~95mm径の中で11種類が用意されている。

フィルターは両面多層防水および耐油コーティングでコーティングされたガラスフィルターで、これによりゴーストやフレアを軽減し、指紋などの肌のオイルも付着しにくくなっている。 今回はSONY α7R3にSONY FE16-35f2.8GMの機材を使用し、Nikon 14-24用のNiSi 150mmフィルターホルダーと82mmレンズ用のアダプターを介して150mm Natural Night Fiterを装着した。

🔴フィルター無し・有りの比較 まずは、実際にどれほど違うのかをホワイトバランスをAUTOに設定しテストしてみた。それぞれf8、ISO800にし、シャッタースピードはフィルター無しが1ss、フィルター有りは2ssで撮影を行った。Natural Night Filterはほぼ1/2EVほどの減光効果があり、フィルター無しの時よりも画像が暗くなる。今回は比較画像をわかりやすくする為に少し長めのシャッタースピードで撮影を行い露出を合わせた。 フィルター無し

フィルター有り

 今回、Natural Night Filterの使用で最も驚いたのがポートタワーの色。フィルター無しではライトの影響でオレンジになっているが、フィルター有りの画像は日中で見る時と同じ色である赤色のポートタワーを映し出している。さらに2枚の画像を見比べてみると光害によって引き起こされるオレンジ色の部分に大きな違いがあるのがわかるだろう。海面の映り込みの色もそうだが、両サイドの建物部分の光害も除去し、隠れていた色を引き出しているのがわかる。 🔴マゼンタの補正と光害の比較 まずはホワイトバランスをAUTOに設定しフィルター無し・有りで撮影を行なった。Natural Night Filterは光害をカットし隠された色を引き出せるが、空がマゼンタよりになるという問題が生じる。個人的には、黄色かがかった夜空よりもマゼンタよりの夜空が好みではあるが、これは後処理で容易に調整できる。 ⓵フィルター無し

⓶フィルター有り

 Lightroomのホワイトバランス選択ツール(スポイトツール)を使用してワンクリックでマゼンタかぶりを補正できる。Lightroomのスポイトアイコンをクリックしてホワイトバランス選択ツールを選択し、ニュートラルなグレーとして指定する写真上の領域をクリックするだけである。今回は空の雲にスポイトを合わせ同じ空の色になるように調整した。 ⓵フィルター無し+ホワイトバランス補正あり

⓶フィルター有り+ホワイトバランス補正あり

 上記写真の右上部の空を比較してみると、フィルター有りの画像は光害をうまく低減させているのがわかる。さらに左上部の街灯部分もしっかりと色を再現し、様々な色で街がライトアップされているのが確認できる。

さらに上記画像のフィルター無し・ホワイトバランス補正ありをLightroomを使用し、イエロートーンの色相と彩度を調整することで、Natural Night Filterで得られた結果にできる限り近づけてみる。 ⓵フィルター無し+ホワイトバランス補正あり+色相彩度補正

⓶フィルター有り+ホワイトバランス補正あり

この方法を使用すると黄色の光害の強度を減らすことはできるが、非常に広い周波数帯に影響を及ぼし、もともとが黄色であるオブジェクトの強度も減少させてしまう。Photoshopで選択範囲を調整し修正することはできるが、手間と時間を必要とする。相反して、Natural Night Fiterで撮影した画像はほとんど手直しの必要がなく、私の写真現像処理において貴重な時間を節約する事ができる。

🔴星空の光害比較 星の撮影においてもNatural Night Filterは光害の影響を低減させ、撮影時の時間短縮も可能にする。星空での撮影時にホワイトバランスをどのように設定するかで悩む事があるが、私はNatural Night Filterを使用する時は常にAUTO設定で撮影を行なっている。下記画像も全てホワイトバランスはAUTO設定である。

⓷フィルター無し

⓸フィルター有り

フィルターを使用していれば、ホワイトバランスをAUTOにしていても手軽に整った画像を得ることができる。これは暗闇での撮影時において、かなりのストレスを軽減し快適な撮影の手助けになる。このままでは比較しにくいのでフィルター無しの画像をホワイトバランス選択ツールを使用してフィルター有りの画像と同じ空の色に調整した。 ⓷フィルター無し+ホワイトバランス補正

⓸フィルター有り

 星の撮影において光害は非常に邪魔な存在で、この比較画像を見るとここまでの差があることに驚かされる。特に今回のように雲がある場合は街の光が雲に反射し光害の影響がより顕著に現れるが、Natural Night Filterを使用すれば大幅に光害を抑え込む事ができる。

🔴解像度・シャープネスの比較 さらに解像度・シャープネスについても見ていく。これは、写真家なら非常に気になる懸念事項である。フィルターを使用することで光害を低減することができても、解像度が落ちてしまうようでは使用を躊躇ってしまう。比較の為に、これまで同様フィルター無し・有りの画像を用意した。 フィルター無し

フィルター有り

 どちらも大差がないように見えるが、画面も小さく、全体像の画像からは判断しにくいので、拡大画像で比較してみよう。 フィルター無し拡大図

フィルター有り拡大図

拡大比較画像を見てわかるようにフィルターの使用によるシャープネスの低下はないことがわかる。これにより、フィルターの使用によって解像が低下する恐れもない事が確認できるだろう。 🔴長所と短所

長所

◦街灯や他の光源からの光害を低減する。 ◦光害によって隠れていた色を引き出し、より自然な色表現を可能にする。 ◦シャープネスを維持する。 ◦後処理が容易。後処理無しでも十分良い画像を得ることができる。

短所

画像全体にマゼンタを追加するが、簡単に修正できる。

◦ガラスなので取り扱いに注意が必要。

◦1/2EVほどの減光効果。 🔴作品完成までの流れ 1. ホワイトバランスAUTOでフィルターを使用して撮影。 2. ホワイトバランスは触らずにLightroom/Photoshopで基本補正。 3. シャープネス・ノイズ処理をして完成。

Natural Night Filterがあれば、今までにない夜景撮影・夜景表現が可能できる。


Comments


カテゴリー
アーカイブ
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Instagramの社会のアイコン
Lr プリセット
記事リスト
bottom of page